『脳が認める勉強法「学習の科学」が明かす驚きの真実!』を読んでみたので感想を書いてみたいと思います。
ダイヤモンド社から出版されている本です。
3年前に買って読んだのですが、この本めちゃくちゃ面白かったです。
ただちょっと分厚いですね(笑)
今日読み返してみたのでシェアしたいと思います。
▼もくじ
エビングハウスの忘却曲線って使えないことが多い
前々から疑問に思っていたんですよ。
ってか、「エビングハウスの忘却線」をおすすめしている方や教育関係の方、
あなたは本当に無数にある暗記事項を全て完璧に管理して復習しているんですか???
という疑問です。
ちょっとぶっきらぼうですが、これは声を大にして言いたい。
エビングハウスが行った実験の中で明らかに問題なのは、実験の大切な要素である
「記憶する素材」
つまり
「覚えるもの・覚えたもの」
が無機質で全く関連性がない三つの音節を使った実験です。
日常生活と関係のないものを覚えることはまずない
エビングハウスが行った実験というのは、意味のあるもの、例えば「音楽の歌詞を覚えてから、その曲の記憶はどれぐらい維持されるのか」という実験ではありません。
「全く意味不明なものを覚えて、それをどういった頻度で覚えれば記憶に留まりやすいのかという」実験しただけですので、非日常的なものを実験したに過ぎません。
心理学の世界では大発見かもしれませんが、日常生活に応用ができない知見というのは我々の日常生活において何ら意味を持ちません。
これ、ちょっと考えれば分かると思うのですが、人間の脳は日常生活と全く関係のないものを覚えるようにできていません。
また、全く関連性のない意味のないものを覚える機会というのは、日常生活では皆無だと言えます。
例えばものを数える時は、ワンツースリーフォーでも、12345でも、自分が数を数える必要があるから覚えるのであって、「数を数えるという行為」には意味があります。
「数を数えるという行為は」生活に必要だからです。
「料理のさしすせそ」という言葉が、砂糖・塩・酢・醤油・味噌を表すんだなと覚えるのは、それが料理に大切で、肝となっている調味料だからです。
目的があって、その目的のために何かを覚えるのであって、目的なしに覚えるということがまず日常生活ではありえないということです。
これがエビングハウスの忘却曲線は資格試験や大学入試や試験勉強にはあまり活用ができないと考える理由です。
エビングハウスと全く逆の結果が出た研究もある
イギリス人の教師で研究者であるフィリップ・ボスウッド・バラードという人が1900年代初めに非常に面白い研究をされています。
端的に言うと、意味を伴う詩などを覚えた場合は、時間が経つと脳は記憶を強化するという結果が出ているのです。
これを『レミニセンス効果』と言います。
現在はエビングハウスが実験した「無意味な音節だけ」のような記憶と、しや歌詞などを覚える「意味を伴う音節」の記憶、その二つに関する実験は別のものとして扱われています。
勉強に関しては、法則があったり、日常生活と関係していたりすることも多々あります。
つまり、試験勉強というのは基本的には意味を伴うものが多いわけです。
確かに、試験勉強の中には呪文のようなものを覚えないといけないことがあります。
そう言った記憶に関しては、忘却曲線というのは当てはまるのかもしれません。
しかし、英語に関してもそうですが、単語の意味は日本語で日常的に使っているものを単に英語に置き換えるだけですし、覚えにくいものはゴロを使ったりして覚えることもあります。
そして、ゴロというのは 日常生活に関係する文脈や語彙を用いるわけですから、基本的に意味の伴ったものを覚えるように、本能的に人間は工夫をしているわけです。
忘れることを恐れない
では、記憶のコツはなんなのかというと、「忘れてもOK」ということになると思います。
なぜかというと、忘れることで記憶が強化されるというのが実証されています。
先ほど紹介した「レミニセンス効果」というやつです。
これは簡単に言うと「ガンガン忘れてしまってもいいよ」ということです。
忘れた後に復習をして思い出す作業というのはとても大変なのですが、「いったんある程度忘れてから復習」をしないと、復習の効果が薄いようです。
忘れるのが怖いからと言って、何度も何度も復習するのが悪い、と言っているわけではありません。
復習ばかりに時間がとられてしまうのが悪いんです。
受験勉強や資格試験の勉強というのは効率がとても大切です。
エビングハウスの忘却曲線のように定期的に何度も何度も復習をするのはとても時間が取られます。
効率が良いようで効率が悪いと思います。
効率が悪いことを推奨するのって、どうなのかなと思うわけです。
効率的なのか効果的なのか、その違いもとても大切
確かに、効率を考えると、一度覚えたことを忘れてしまった後に、もう一度暗記し直すのは効率が悪いように感じます。
しかし、エビングハウスの忘却曲線をお勧めしている勉強法の本や Web サイトなどが提唱する、
- 数時間後
- 次の日
- 1週間後
- 4週間後
などなど、復習の時間を考えると、明らかに効率が悪いと思います。
と言うか、そんなに定期的に計画的に復習をできる人は間違いなく受験に合格します。
さらに言えば、定期的に確実に一つの事柄を復習するのは、 AIや専属トレーナーに管理をしてもらわないと無理ではないでしょうか。
私が言いたいのは、私が正しいとかそういうことじゃないです。
全ての理論ってのは、仮説です。
ってか、全ての勉強法や理論の効果には個人差があります。
私がこの記事で言いたいのは、
「エビングハウスの忘却曲線」に従って復習を管理するのって、不可能じゃないですかね?
ってことです。
その不可能なことをおすすめすること自体がものすごく無責任であると昔から常々感じていました。
本音を言うと、いや、そんな復習の方法、絶対無理じゃん(笑)
実行不可能だと思いますよ。
これが、一度覚えてしまった後は一旦放置をしておいて、忘れてきたなと思う頃に復習をするのがベストだと私が考える理由です。
だいぶ忘れてからの復習は大変で辛いですが、その大変さがあるからこそ記憶がより強化されます。
記憶がしっかりしている頃に復習をするよりも、記憶があやふやになってきてからの方が脳の神経により大きな刺激を与えられるからだそうです。
つまり、
気にせず、ガンガン忘れてみてください!
その代わり、忘れた頃に必ず復習をしましょう。
間違った勉強法で勉強しないように気をつけたいものですね。
このような話を深く知りたいのであればこの本はとてもおすすめの本です。
脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!