今回は番外編として、10年ほど時をさかのぼって高校時代に経験した海外留学の体験についてお伝えしたいと思います。
英語を「話す」ことに高いハードルを感じていた
私は、小学6年生の時から英会話教室に通っていました。当時教わっていた先生はスピーキングスキルのとても高い方で、中学校に入学する前の1年間で発音の基礎をしっかりと叩き込んでくださいました。
さて、中学校でいよいよ待ちに待った英語の授業がスタートしましたが、私は折角事前に学んでいた発音スキルを活かせませんでした。当時は思春期真っただ中で、帰国子女でもないのに“ネイティブっぽい”発音をすることでクスクス笑われるのが、とても恥ずかしい時期だったのです。
結局小学生の頃覚えた発音も忘れかけた状態で高校へ進学したのですが、そこで1つのチャンスが巡ってきます。それが、学校のプログラムによる1か月のイギリス短期留学です。その頃には、授業中の音読でわざとカタカナ英語を使うのがクセになっており、すっかり英語を話す機会も無くなってしまっていたので不安もありましたが、「イギリスに行ってみたい!海外の人と話してみたい!」という好奇心で行ってみることにしました。
現地カレッジで英語を学ぶ
留学先は、私が通っていた高校と長年親交を深めてきたイギリスのカレッジでした。滞在中はカレッジ構内にある寮で寝起きし、毎日講義室で英語のカリキュラムを受講しますので、日本の高校生でありながらイギリスの大学生気分を味わうという特別な経験をすることができました。
現地では、午前中にレベル別の英語授業を受講し、午後に名所旧跡の訪問やスポーツをするという流れでスケジューリングされています。授業のレベル分けテストは事前に学校で受験済みで、到着後現地にてクラス分けの発表がありましたが、思った以上にシビアにA・B・Cランクに分けられていたのがとても印象的でした。当時高校でもレベル別の授業はありましたが、ある程度生徒側に選択権が与えられており試験の点数ではっきりと区別されることは無かったため余計に驚いたのかもしれません。
現地でわたしのクラスを担当してくださった先生は、まさに英国紳士!といった感じの物腰柔らかな方でしたが、予習復習には厳しかったため夜の自由時間は勉強に費やすことが多かったです。日本語の全くわからない先生でしたので、授業を進めるための指示もすべて英語です。時には宿題の箇所や内容が聞き取れず、一緒に受講した友人と頭を悩ますような場面もありました。
なお、授業の内容は英会話というより受験英語に近い文法の問題が多かったです。日本人が国語を勉強するのと同じように、イギリスでも正しい英語を理解するためのグラマーの授業があるため、それと同じ教材で学習が進められていたようです。一つのカテゴリーの授業が終わるたびに都度テストでレベル別にクラス分けされるため、片時も気を抜くことはできず友人と切磋琢磨しながら学習に取り組みました。
留学の醍醐味は英語を学ぶことだけではない
やはり留学の一番の醍醐味は現地を知ることができるという点だったと思います。毎日午前中の英語の授業を終えると、午後のアクティビティが楽しみで仕方がなかったのをよく覚えています。
実際に私が体験したアクティビティは以下の通りです。
- エジンバラでのハイキングや市内観光
- スコティッシュダンス・バグパイプ体験
- 大英博物館見学
- ロンドンでのミュージカル観賞
- アフタヌーンティー体験
- テムズ川の川下り
などなど、他にも多数あります。
初めて経験したダンスパーティーは、着慣れないフォーマルドレスに履きなれないハイヒールを身に着け、「海外の高校生はこんな風にプロムパーティー(卒業ダンスパーティー)に行くのか!」と感動しました。日本にはない文化なので、こういった形で経験できて本当に良かったです。ロンドンではミュージカル「ライオンキング」を全編英語で観賞したものの、こちらは全くセリフが聞き取れず、敢え無く断念。今思うとあんな素晴らしい舞台を前に爆睡したなんて信じがたいのですが、ネイティブの方々が舞台を見ながら泣いたり笑ったりしているのを見て、自分の英語力不足を改めて痛感する良いきっかけになりました。
アフタヌーンティー体験では、ロンドンからやや田舎の方へ車を走らせ、三角屋根のかわいらしい自宅でお菓子教室をしているマダムから、スコーンづくりを教えてもらいました。マダムは女性らしく優しい方でしたがマナーにとても厳しく、「アフタヌーンティーは、単におやつを食べる場ではなく伝統的な社交の場。会話の内容や礼儀作法に十分気を付けなければダメなのよ。」と話していました。マダムの目が光る中、マナーを気にしつつ食べた出来立てスコーンの味は、緊張を忘れるほどの絶品で、帰国後もチャレンジしていますがあの感動の味はまだ再現できていません。
さて、このように1か月で本当にいろいろなアクティビティを経験しましたが、これらはすべて留学先のカレッジの学生がボランティアで引率してくれていました。もちろん彼らも日本語が話せないため、各スポットへの移動時に何気なくかわす言葉もすべて英語です。トイレ休憩や自由行動時の指示も、「聞き取れなかった」では済まないので必死に耳を傾けていました。
本当の意味で英語が身についたなと感じたのは、机に向かう勉強よりもやはりこういったアクティビティでの英会話でした。やはりリスニングもスピーキングも、必要に駆られて一生懸命にやってみることが一番の上達方法なのかもしれません。
かけがえのない体験ができる海外留学。迷うなら絶対に行くべき!
英語を「話す」ことに抵抗を感じていたあの時、もし留学していなかったら今の自分は無かったと思います。留学の経験を経て、「決して流暢な英語ではないけれど、曲がりなりにも現地でネイティブと意思疎通できた英語なのだから大丈夫!」と思えるようになりました。海外かぶれのようで恥ずかしいお話ですが、イギリスから帰国後自宅に帰る途中で肩がぶつかってしまった相手に”Oops!Sorry.”と自然につぶやいたとき、一つ自分の殻を破ることが出来たような嬉しい気持ちになったことを覚えています。(ぶつかった相手の方は「???」という感じだったと思うのですが・・・笑)
ちなみに、滞在中見たミュージカルで内容が聞き取れなかったことが悔しかった私は、それから5年後に行ったNY一人旅で、ブロードウェイミュージカルに再挑戦しました。イギリス留学の楽しかった思い出と、当時ミュージカル観賞であじわった悔しさが、私を海外一人旅の挑戦へ導いてくれたと思っていますし、それが今の仕事にもつながっていると思うと本当に感慨深いです。また、費用を気にせず行っておいでと背中を押してくれた両親にも心から感謝しています。
短期間であっても海外で「生活する」という経験は、何年たっても色あせず、かけがえのない思い出として心に残ります。留学をするか否かで迷っている方、“迷うなら絶対行くべき!”ですよ♪