大学受験用の英語長文問題集は、実は、大学受験だけではなく英検やTOEIC、TOEFL、IELTSなど、幅広く活用することが可能です。
特に、最近出版された英語長文系の本は、ひと昔前のものと違ってかなり進化しています。
そんな英語長文問題集の中から、今回はこの1冊
「頻出問題集の決定版!出る!出た!英語長文18選 上級編」(河合出版)
をご紹介致します。
▼もくじ
本問題集の構成(長文・設問・解説)
とうとう河合出版が骨太の本を出してきたかな、という感じです。類書として、「やっておきたい英語長文」シリーズがありますが、それらとはしっかりと差別化を図っていると思います。
正式名称は
「頻出問題集の決定版!出る!出た!英語長文18選上級編 (河合塾シリーズ)」
(河合出版)
です。
著者は、小林功 氏です。大御所ですね。
さて、まずは外装と中身を確認していきましょう。
表紙
スッキリしたシンプルな表紙です。河合出版っぽいです。
本冊と別冊
本冊とは別に問題編が付いています。(私物なので、表紙がくちゃくちゃですみません)
ページ数は291ページで、河合出版 から2017年6月1日に出版されています。
では、まず別冊を見ていきましょう。
別冊 問題編
18本の長文が収録されています。
長文の長さはどうか(words/文字数)
長文の長さは写真にも載っていますが、600-900ワード。
1,000ワードまではいきませんが、そこそこ長いのでいい訓練になります。
長文は、見開きだと1~1.5枚程度。つまり、2~3ページです。
設問の数はどうか
問題数は、英文1~18番まで様々ですが、比較的多いです。
なので、問題をたくさん解きたい人には向いていると思います。
内容説明、和訳、内容一致、穴埋めなど、幅広く訓練可能です。
しかも、この「出る!出た!英語長文」シリーズの基本的なコンセプトは
「正確に読む」
ことだと思いますので、後述しますが精読もしっかり鍛えることができます。
次に、本冊を見ていきます。厚いほうは解説となっています。
本冊(厚いほう):解説はどうか
解答 → 解説の流れになっています。
解説は詳しい部類です。この参考書を使う人には、必要十分かと思われます。
本問題集の最大のおすすめポイント
この本は、河合出版もかなり力を入れてきたのではないかなと思われ、解説がかなり詳しいです。
本冊:これがイチ押し!!構造解説(左ページ)
この本の最大の押しは、一文一文に解説が付いていることでしょう。
誤読・誤訳が減ること間違いなしです。
構造解説の下には、その和訳も再掲されています。
英文に①②③と番号が振られているので、和訳も該当箇所を探す手間が省けるので、編集者の方もよく考えられていますね。
英語って、単語さえわかれば、ある程度内容を把握できてしまうので、どうしても適当に読む癖がついてしまっている人が多く見受けられます。
- 点数が安定しない
- いつもなんとなく読んでいる
- 自分のが訳と解説の訳に乖離がある
こんな人には「出る!出た!英語長文18選」は有効だと思います。
語彙解説も充実
すでに十分詳しいかと思うのですが、語彙の解説も充実しています。
画像にある通り、「品詞」もしっかり明示されています。
これは凄いですね。
語彙のまとめがあったとしても、品詞の表記ってけっこう省かれることが多いので、しっかり作っている証拠です。
3. 本問題集を使って英語を得意にするコツ
別冊最後に英文まとめ(左に英語/右に和訳)
これがまた素晴らしいです。
見てわかる通り、英文と該当する和訳に番号がふられています。
「速読英単語」の形式になっていますが、番号が振られていて、さらに構造解説が本冊(分厚いほう)に載っているので、速読英単語よりも使い勝手は良いでしょう。
単語の網羅性は速単シリーズのほうが上ですが。
英語を得意にするコツ:英語は読み込みが大切
英語は自分にとって読みにくい英文、知らない語彙が詰まっている英文を何度も何度も読み込んで、スラスラ読めるようになるまで繰り返すことは、とても大切です。
その「読み込み」をしやすく再掲しているのは、痒いところに手が届いているというか、粋な編集です。
編集者された方、素晴らしい!座布団3枚です。
出る!出た!英語長文18選 上級編は買いか?
まぁ、ここまでおススメしてきて何って感じですが、「出る!出た!英語長文18選 上級編」は結局買いなのでしょうか?
答えは「買い」です。
間違いない。ただ、けっこう難しいので頑張って繰り返しましょう。
資格試験形の本の解説は非常に雑
これ、声を大にして言いたいのですが、ページ数の都合上なのかわかりませんが、英検、TOEIC、TOEFL、IELTSの本って、解説が非常に少ないです。
構造解析が載っている本が非常に少ない。
問題の解説だけさらっとして終わりとかざらです。
いや、英語を得意にさせる気があるのかな?とかめっちゃ思いますね。
初級者・初心者の方は、大学受験用の参考書を使ったほうが絶対いいです。
日本人の英語力が低いのは、資格試験関係の本の解説の甘さが一つの原因になっていると、(個人的には)強く思っています。
類書との比較
「やっておきたい英語長文」シリーズを受験生や塾の先生はやたら使う傾向にあると感じますが、「やっておきた」シリーズは構造解説がほぼありません
つまり、自力で使うにはかなりレベルじゃないと使いこなせないと思います。
個人的には、私のように英語講師を飯を食っている身としては、「なぜにやっておきたい英語長文を使う?」と不思議に思うくらいです。
間違いなく、「この出る!出た!英語長文〇〇選」シリーズのほうを先行させるべきでしょう。
どのレベルの人が使うべきか
センター・マーク型模試等で180点くらい安定して取れる人、つまり、国公立2次試験や難関私大対策を始めたい方、TOEFLやIELTS試験対策で解説が詳しいものを使って対策をしたい人は、この本を使うのは一考でしょう。
抽象的な英文が内容が多いので、国語力が足りない人、雑学等が弱い人にはきつい参考書・問題集となっています。
また、英検、TOEFL、IELTSなどのリーディングで高得点を取りたい人にもオススメです。
点数が安定しない人などは、この「出る!出た!英語長文18選」などの解説の詳しい本に立ち返って勉強したほうがいいです。
出る!出た!英語長文18選の弱点は・・・?
さすがにほめ過ぎだろうという方、弱点もちゃんと書いておきましょう。
音声がない
いやー、これは痛い。惜し過ぎます。
CDも売っていないし、ダウンロードも今のところないようです。
音声を使って、シャドーイングや音読をしたかったですね。
まぁ、でも英文の質が高いので、買って損はありません。
まとめ
最近は、こういった解説が詳しい本がたくさん出てきていますが、今回は河合出版ということで質もしっかりしているでしょう。
- 精読がしっかりできる
- 質が高い
- 抽象度が高い英語を読みたい(国公立や難関私大対策)
- 英検やTOEIC, TOEFL, IELTSなどにも使える
大学受験は特に資格試験と相性が良いですので、あえて資格試験用の解説が乏しい本を使わずに、大学受験用の本を最大限に活用していくと、伸び悩みを防ぐことができます。
おススメの1冊です。
最後に
英語の勉強で困っている方はこちら。技能別に細かく解説しています。
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